DIC

コーポレート・ガバナンス

改善

 

DICによる3月12日付け開示を受けたオアシスの投資家向けプレゼンテーションは、こちらをクリックしてご覧ください。(3月14日公開)

DICに関するオアシスの投資家向けプレゼンテーションは、こちらをクリックしてご覧ください。(当初公開資料)

DICの長期株主であるオアシスは、DICの株主に対し、2025年3月に予定されている定時株主総会において、DICのコーポレートガバナンス改善のために以下のような議決権行使を行うように要請いたします。DICは長きに亘る業績と株価の低迷に悩まされてきた歴史を有するだけでなく、少数株主の権利を意識した経営が適切に行われていません。

  • 猪野氏の再任に反対を猪野氏は、業績低迷を打破できず、中期経営計画の達成にも失敗しており経営者としての能力に疑義がある他、川村氏およびその一族が支配する企業との関連当事者取引を適切に監督してこなかったという問題や、川村氏をエグゼクティブアドバイザー職へ任命したという責任があります

  • オアシス提案の定款変更議案に賛成をオアシスの定款変更議案は関連当事者取引に関する監督を強化します

長きに亘る業績と株価の低迷と、ガバナンス上の懸念

DICは長年に亘る業績と株価の低迷に悩まされてきました。特に象徴的な事象として挙げられるのが、5回連続の中期経営計画の未達、TOPIXに対して低位に推移してきたTSR、5年以上に亘ってPBR1.0倍を下回り続けてきた株価、リストラ、そして給与上昇の欠如などです。

 DICのコーポレートガバナンスの機能不全を表す事象として特にオアシスが問題であると感じているのは以下です:

  •  経営能力:川村氏と猪野氏の在任中に複数の中計の未達、大規模な赤字や減損、そしてPBR1倍割れの結果を残すなど、企業価値を大きく毀損し続けており、経営者としての能力に疑問

  • 関連当事者取引の適切性:他の上場企業で類を見ない規模の関連当事者取引が川村家関連団体と継続して行われており、その中の一部の取引行為、例えば川村家の支配する会社に売却された約20億円の土地が僅か2か月以内に第三者に転売された埼玉土地取引等について、オアシスは川村氏の取締役としての品位を特に強く疑問視

  • 関連当事者取引の監督:過去10年にわたり約1,200億円にも及ぶ関連当事者取引の監督について、DICは取締役会議事録が「存在しない」と裁判手続きにおいて主張しており関連当事者取引の監督に大きな懸念

  • 役員指名の適切性:過去の川村氏の取締役指名の経緯にはその適切性に懸念。また、川村氏のエグゼクティブアドバイザーへの任命にも懸念が残るだけでなく、当該指名を主導した、役員指名委員会委員としての猪野氏の見識を疑わざるを得ず

  • その他の公私混同行為:関連当事者取引以外にも疑問が残る公私混同行為が川村家関連団体との間に長期にわたって行われていた疑いあり

 そのため、上記のとおり、DICのコーポレート・ガバナンス改善のために、オアシスはDICの株主に以下の投票行動を要請いたします:

  •  猪野氏の再任に反対を:猪野氏は、業績低迷を打破できず、中期経営計画の達成にも失敗しており経営者としての能力に疑義がある他、川村氏およびその一族が支配する企業との関連当事者取引を適切に監督してこなかったという問題や、川村氏のエグゼクティブアドバイザー職へ任命したという責任があります

  • オアシス提案の定款変更議案に賛成をオアシスの定款変更議案は関連当事者取引に関する監督を強化します

美術館の今後の運営方針についての検討方法に関してのオアシスの提案

上記の問題に加え、オアシスは、DIC川村記念美術館の将来に関するDICの意思決定プロセスにも問題があると考えています。DICの保有する美術品の価値はDICの時価総額のほとんどないしは大部分を占める可能性もあると報道されており、美術品の取扱いはDICの企業価値や株式価値に対して決定的かつ不可逆的な影響を及ぼす重大な意思決定です。オアシスが特に懸念している事項として、以下が挙げられます:

  • 定量的な分析の欠如:DICの方針決定にあたって定量的な分析が行われておらず、また最終的に継続保有するまたは売却する作品が決定していない中でどのようにして発表された方針が企業価値向上に資すると結論づけたのかが不明。取締役会において企業価値向上に向けた適切な検討が行われていない可能性を示唆

  • 継続保有する作品規模についての裏付けの欠如:なぜ1/4という規模がDICが主張するところの社会的価値、経済的価値または企業価値の観点から最も好ましい規模なのかについて一切の裏付けが示されず。特に、継続保有する作品および売却する作品やその時価が決定しない中で、作品数ベースで1/4という数字のみが先行して決定されたのは、企業価値向上への真摯な取り組みという観点から疑問であり、取締役会において企業価値向上に向けた適切な検討が行われていない可能性を示唆

  • 企業価値を破壊する方法での作品売却:DICの発表する“段階的”な売却はDICの企業価値を有意に毀損する

  • 不十分かつ誤導的な開示:美術品の価値などについて不十分または誤導的な開示

 株主を含む全てのステークホルダーにとっての最善の利益のために、また、DICの企業価値向上のために、DICが美術館の将来について決定する前に、以下の対応が行われることを求めます。

  • DICの目指す方向性の確認と開示:DICは美術館運営の“社会的価値”を今後の方針決定の考慮要素としている以上、その定義付けや企業価値との関係性の整理を実施し公開すべき。さらに、特にDICの業績や株価の低迷を踏まえて、DICは社会的価値と経済的価値や企業価値が背反関係にある場合のDICの行動指針を策定すべき

  • 定量分析の実施:DICは美術品売却によって得られる経済的価値と美術館運営を継続することによって得られる社会的価値の比較や、財務的な観点から見た、DICの企業規模と収益性に見合った適切な社会貢献の規模(金銭的な貢献だけでなく、人的な貢献やバランスシート上の貢献も含む)についての定量的な分析を実施すべき

  • 株主に対する透明性の確保:DICは定量的分析やその結果を含む、本件についての議論の適切な開示を実施すべき

  • (売却が行われる場合は)適切な方法での美術品の売却:DICは、美術品の売却を行う場合は、企業価値を最大化する方法で美術品の売却を行うべき。企業価値を最大化する売却方法は全ての美術品を一度に売却するコレクションセールないしはコレクションセールに近い形である可能性が高い。また、DICは、美術品の売却時の対価を大きく減少させる可能性が高く、ひいては、企業価値を大きく棄損する“段階的な”売却を行うべきでない

オアシスからDICへの公開質問

株主が株主総会において適切な意思決定が行えるよう、オアシスはDICが以下の質問に対する回答を3月10日までに公表されることを要請いたします。

  1. 経営者としての実績の悪さにも関わらず、猪野氏が取締役会長として再度指名を受けている理由はなぜでしょうか?

  2. 特定の部門について責任を持たれてこなかったにもかかわらず、社内取締役として、川村氏はどのようにDICの企業価値向上に貢献されてきたのでしょうか?

  3. 過去、DICにおいて取締役退任者を「エグゼクティブアドバイザー」職に任命したことがないにも関わらず、川村氏のために当該役職を新設してまで川村氏との関係性を維持し続けるという、他の社内取締役と別異の取扱いを実施する理由をお答えください。

  4. 川村氏が取締役を務めた期間においてDICの業績や株価は低迷しておりますが、経営者としての川村氏の資質につき、DICの取締役会がどのような評価を行っているかお答えください。

  5. 一般論として、大株主で、かつ、元重役の再就職先ともなっている企業と、この規模の関連当事者取引を継続することが健全かつ必要であると考える理由をお答えください。

  6. 老朽化による建替えの話があった際、別の場所に移転する選択肢は最初から無かった模様ですが、本社の移転について川村家の所有する土地・建物以外の検討を行わなかった理由についてお答えください。

  7. 裁判手続の中で、本社の建替えによって、「坪単価を増加させる[…]ことができた」と主張されていますが、支払い賃料が増えることがなぜDICにとってメリットであると考えておられるのかお答えください。

  8. 2012年に実施した埼玉土地の売却取引について、なぜ直接マンションデベロッパーへの売却を行わず、川村家関連団体経由で売却されることとなったのか、その理由をお答えください。

  9. 日辰貿易及び大日製罐との取引について、その取引金額が過去10年間で1,200億円以上にも及ぶにも関わらず、一度も取締役会で議論が行われていないのは不適切ではないでしょうか?

  10. 一般論として、“社会的価値”と経済的価値や企業価値が背反関係にある場合の貴社の行動指針についてご説明ください。

  11. 取締役会は、美術館を東京に移転することによって、“適切な規模と場所に移転したうえで美術館運営を続けることによってのみ、当社の芸術・美術分野への社会貢献によって得られる社会的価値が、運営中止によって得る経済的価値と比しても正当化されるものと判断”したとのことですが、どの美術品を継続保有するか、または売却するか現時点で決定していないにも関わらずかかる判断ができた理由をお答えください。

  12. 同様に、“移転候補先との美術館の運営によって当社が得られる無形の価値は金額に換算できるものではありません。しかしながら[DIC]取締役会は、・・・その潜在的な社会的価値とブランド価値がきわめて重要かつ影響の大きいものと考えました”との考えは、定量的な企業価値向上の観点から十分な検討であるとお考えかお答えください。

  13. 質問11.と同様に、どの美術品を継続保有するか、または売却するかを現時点で決定していないにも関わらず、1/4程度への縮小が適切であると考えられた理由をお答えください。

DICの株主の皆様には、是非とも弊社にご連絡いただき、DICのコーポレート・ガバナンスの改善活動にご参加いただきますようお願いいたします。メールでのお問い合わせはinfo@DICcorpgov.comまでお願いします。